令和6年度介護報酬改定を追う!通所リハビリのポイントは?

megane
この記事でわかる事
  1. 日本の現状
  2. 令和6年度同時改定に向けた意見交換会の情報
  3. 通所リハ管理職の気になるポイントピックアップ
  4. 具体的な改定情報はまだまだ
  5. その他 通所リハ・訪問リハ要件緩和の提案

令和6年度は診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定です。また、団塊の世代がすべて75歳以上になる令和7年(2025年)の前年であり、医療と介護の関連制度や計画・方針の大きな節目といわれています。厚生労働省 社会保障審議会 意見交換会資料より

私の勤める通所リハビリも、介護保険サービスの一つであり今後の制度上の変更に注目しています。日本の現状を再確認しながら、社会保障審議会の情報から通所リハビリに関連した情報を整理していきます。

日本の現状を再確認

意見交換会の基礎資料から、筆者の気になる点を整理します。【令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第1回)議事次第 資料-2より】

基礎資料まとめ 日本の現状
  • 日本の人口は減る
    • 先に、子どもと生産人口が減る
    • いずれ高齢者も減るけどしばらく先(2040年頃)
  • 全国的に子どもと生産人口は減る。
    • 高齢者人口の減り方は地域ごとに異なる
  • 社会保障給付費は増える。
    • 年金・医療・福祉/その他 全般的に増えている。
    • 福祉/その他については2000年⇒2020年で約3倍になっている
  • 医療と介護の複合ニーズが高まる
  • 介護職員の必要数は増加する

少子高齢化という、昨今の人口推移の課題は変わっていません。

メガトレンドとして、年少・生産人口減少による税負担の増加と働き手の減少。

高齢者数の増加に伴う、社会保障費の増大。ここから整理すると。

プリセット3
プリセット3

高齢者支援が必要だから、介護職員の必要数は増加するけど、働き手は少ない。社会保障費の抑制もしないといけないから介護報酬も積極的に上げられない。少ない人数で、多くの高齢者の支援をしていかないといけなくなる。

少し変化があるとすると、「高齢者人口の減少」に着目されている点に目が向きます。2040年頃より高齢者人口が減少するとあり、その推移は地域性があるようです。わたしは、人口16万人前後の地方都市に住んでおり、そこで通所リハビリテーションの運営に携わっています。この地域ではすでに高齢者人口がピークアウトしている傾向です。全国的な高齢者人口の減少は2040年頃ですが、すでに地域によっては減少に転じていると感じています。自身の地域の人口推移を確認し、次の事業計画を検討することをお勧めします。

生産人口の減少

働き手不足は今後も減少することになります。生産人口の減少は、医療・介護業界に関わらず、様々な業界に影響を与えます。人材の取り合いになりますが、医療・介護業界は積極的な賃上げはできないと考えており、少人数で効率的に多数の方々にサービスを提供することを考えないといけません。

この点は、介護現場の生産性向上やICTの導入やDXなど、現場に落とし込んで日々の業務負担の改善が考えられています。関連の学会・研修会の情報も散見されるようになりました。

しかし、既存の介護現場は保守的な部分も多いのではないでしょうか。ICTの導入について多くの費用が見込まれますし、それを扱う人材育成も必要です。個人的な経験では「私は分からないから、わかる人に任せます」といった姿勢のスタッフもおり、現場運営を悩ませます。今後の現場の構築の為には、混乱が少なくなるような運用を考えていかないといけません。

通所リハビリテーション管理職の見る

 令和6年度同時改定意見交換内容のポイント

令和5年3月15日の令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第1回)の内容を参考に、通所リハビリ管理職として気になる点をピックアップしていきます。

  • リハビリテーション、口腔の管理及び栄養管理の取組は一体的に運用されることで、より効果的な治療・重症(重度)化予防、自立支援につながることが期待される。
  • 退院後から訪問・通所リハビリテーションを利用開始するまでの期間が 短いほど、利用者の機能回復が大きい傾向がある
  • リハビリテーションを訓練として提供するのではなく、定期的な 生活機能の評価とそれに基づく運動・生活指導によりADLが改善することも報告されている
  • リハビリテーションが漫然と継続されている可能性がある。

通所リハでの栄養・口腔支援の取り組みを注力するか?

リハビリテーション・栄養・口腔の一体的な管理・支援は効果的であることについては周知の事であると思います。病院などではNST(Nutrition Support Team, 栄養サポートチーム)が稼働して、連携が図られている所も多いのではないでしょうか。通所リハビリでは、積極的な身体機能訓練を実施しているところも多い為、利用者の栄養状態の把握も兼ねた、口腔・栄養スクリーニング加算の算定や、必要者への口腔機能向上加算・栄養改善加算を算定した取り組みも実施できます。しかし、通所リハビリだけでは利用回数によって介入頻度が少ない為、基本的に生活をする自宅での食事状況の把握や、本人・家族への栄養指導、他の支援サービスとの連携も重要と考えています。

漫然としたリハビリテーション

目標意識のないリハビリテーションの実施の継続は以前から言われています。前回改定で、通所リハビリテーションでもリハビリテーションの質の担保の為のリハビリテーションマネジメント加算が基本報酬に包括化されたのも、この課題が要因でしょう。

漫然としたリハビリテーションの課題はどこにあるのでしょうか?

  • 提供するサービス側
  • 利用者本人の意向
  • ケアプラン自体

私は状況に応じて、それぞれに課題があるのではないかと考えています。人は考え方が保守的になると思いますし、障害や加齢によってはより顕著になると思います。通所リハビリの修了・卒業といった考え方もありますが、継続的な支援の必要性も感じています。

通所リハビリでサービスを提供するスタッフとして、目標設定・支援の方向性を、支援を受ける利用者含めて定めていけるように取り組むよう重要性を感じています。

具体的な改定情報はまだまだ

令和6年度介護報酬改定の具体的な情報はまだまだですが、少子高齢化の日本での通所リハビリとしての役割を再確認し、適切な支援を提供できるように努めていきましょう。

本記事のまとめ
  • 少子高齢化は変わらず
  • 地域によって、高齢者は減少時期
  • 少ない人員でのサービス提供する時代が来る
  • リハビリテーション・栄養・口腔管理の連携の重要性
  • 漫然としたリハビリテーションは継続して実施されている可能性がある

今後も、同時改定に向けて情報整理しながら、日常業務の改善に努めていきたいと思います。

通所リハ・訪問リハ要件緩和の提案

参考・引用:内閣府と関係府省との間で調整を行う提案についての最終的な調整結果について  厚生労働省PDF   別サイトページ

令和4年に豊田市から興味深い提案がされていました。提案内容は以下の通りです。

提案事項(事項名)

介護保険制度における訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションの指定基準の緩和

求める措置の具体的内容

介護保険法等において、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院でなければ開設できないと定められている訪問リハビリテーション(以下、「訪問リハビリ」という。)、通所リハビリテーション(以下、「通所リハビリ」という。)について、事業所の指定基準を見直し、訪問看護のように、開設できる法人格や開設場所の制限を撤廃するとともに、人員基準で求められているリハビリテーション事業所の医師の配置を必須とせず、主治医との連携をとることによりサービス提供を可能とするよう指定基準の緩和を行うことを求める。

この提案の意味と今後の動向

地方団体と府庁との意見や見解・回答についてはPDFに詳細が記載されています。

デイケア管理職PTとしての考えは以下の通りです

  • 現時点で医師の配置基準の緩和はできないよね
  • でも、こんな提案が出るのはリハ職の仕事場所の拡大につながるので良いよね
  • 基準緩和されると、リハビリ特化型デイサービスと通所リハビリとの区別がなくなる。むしろ、移行していく。
  • 基準緩和したら、起業・開業するリハ職が増えていくかもしれない(管理職している身からすると、視野に入れる)

実施の是非はあるとして、地方自治体からこのような声が上がるのは、リハ職の関りを求めている声がある為と感じられて嬉しく思います。自己研鑽の励みになりますね。

今後の動向としては

(介護予防)訪問リハビリテーション事業者及び指定(介護予防)通所リハビリテーション事業者が事業所ごとに置くべき従業者の員数及び施設に係る基準の見直しについては、社会保障審議会の意見を聴いた上で検討し、令和5年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

とあります。どのような方向性になるか注目していき、追記していきたいと思います。

ご拝読ありがとうございました。

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